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2010年5月4日火曜日

バブル後第一世代もしくはデルタ地帯として

ZAK SPA!の記事

’87~’91年に起こったバブル景気。この間の狂乱っぷりも、もはや昔話となり、当時、就職活動を行った“バブル世代”も、40代の立派な中年である。そして今、なんでも、このバブル世代が「若い女のコにモテる!?」と、うっかり、ときめいているんだとか……。現実は、さにあらず。若い女性たちから聞こえてくるのは、いまだギラギラが冷めない40代バブル世代への「イタい」「ウザい」といったブーイングだった!【

■バブル時代の風景 会社の接待や忘年会が高級レストランや会員制クラブで行われ、高級食材を貪るグルメブームが起こった。イタリアンを「イタ飯」と呼んだり、ボジョレー・ヌーヴォーを異常にありがたがったりもした。

 ◇

 「新入社員の頃、経費月30万円を使うため、キャバクラや高級レストランに行きまくった」という男性(43歳・広告)の証言もある。確かに、いい店に行き、いい食材を食してきたのであろう。 しかし、

 「上司と食事に行くことになり、『回転寿司に行きたい』と言うと、『オレ、チェーン店とかって嫌いなんだよね』と連れていかれたのが車で1時間かかる高級寿司店。注文が不慣れな私に対して、ネタを知りつくしたように自慢げに自分の注文をしていくのがウザかった。私は回転寿司で気軽にお腹いっぱい食べたかったのに、食べた気がしなかった」(24歳・サービス)と、女のコはおいしいもの、高級なものならなんでも喜ぶと思い込んでいるのが、そもそも大いなるカン違い。

 まあ、ごちそうしてくれること自体はありがたくはあるのだが、「残業中の差し入れにピエールマルコリーニのアイスなど有名店のスィーツを買ってきてくれるのだが、『あのアイス、おいしかったろ?』とあとになってもしつこく言ってくる」(28歳・エネルギー)、「高層ビルの夜景のキレイな焼き肉屋に連れていかれ、終始、『こんないいお肉、食べたことないでしょ?』と何度も言われた」(30歳・エネルギー)と、恩を着せられてまで食べたくはない。

 さらに、「『バブル世代だからさ、食べきれないくらい料理頼まないと気が済まないんだよね』と、大量に注文して残す。もったいない……」(29歳・派遣)と、バブルな価値観がエコな時代に浮きまくるのも当然だ。「会社の女のコたちで『どこそこの○○がおいしいよね』と盛り上がっていると、片っ端からケチをつけてくる。『本物を知ったら、あんなの食べられないよ~』と」(29歳・コンサルティング)

 そう、彼らの決めゼリフは、「本物の味を知っておかないと」。

 しかし、「ロマネコンティに異常なまでに反応」(32歳・IT)したり、「バーでマッカランを注文。『デキる男はこれだよね』と言った」(26歳・マスコミ)り。

 安価でもおいしいものがたくさんあり、選択肢も格段に増えた今、その超ベタベタの“本物”へのこだわりに、一体、如何ほどの意味があるのやら。

■バブル男の決め言葉「やっぱり本物を知らないと」


■バブル時代の風景 安田火災がゴッホ「ひまわり」を53億円で落札するなど、ジャパンマネーが世界を席巻。一般人も高級車を買い求め、BMW3シリーズが六本木カローラと言われたり。「24時間戦えますか」が流行語に。

 ◇

 若い世代の車離れが指摘されるが、「ベンツに乗っている上司に、『この車以外は乗れないよ。オレ、一流のものが好きだからさ』と言われた」(26歳・事務)とまあ、バブル世代にとって相変わらず車はステータスなのである。とはいえ、

 「42歳上司は20代の頃に買ったトライアンフのクラッシックカーが宝物。『月1回、イトーヨーカドーに行くくらいしか乗らないけどね』とうれしそうに語るが、月2万円の維持費に駐車場代までかけるなんて理解できない」(25歳・販売)と、車離れが指摘される若い世代に、その価値は伝わらない。

 しかし、彼らを面倒くさいと感じるのは、彼らが信奉する「高級=ステータス」の方程式が理解できないだけではない。

 「高層マンションに住んでいることを自慢したいらしく、頻繁にホームパーティに誘う。『素敵なマンションですね~』とか褒めたりするのがめんどくさい」(28歳・商社)と、自慢話のお相手をするのにうんざりなのである。

 そんな40代バブル男が疎まれるのは、職場でも同様だ。

 「『接待もしないで仕事は取れないんだよ』と豪語。社長に疎まれていることすら気づかず、自分は仕事ができると思い込んでいる」(29歳・派遣)、「経費削減でバイトを解雇したため、社員も雑用をすることになったのだが、45歳の同僚は『これはオレの仕事じゃないよ』と文句ばかり」(30歳・IT)とその危機感のなさに、あきれる声多数。

 また、「特別賞与で1万円が支給され、みんなで喜んでいたら、『たった1万円でそんなに喜んでんの?』と、盛り上がる雰囲気を台無しにした」(32歳・飲食)と、なぜか場の空気に水をさしたがる。

 「『出世したければオレに聞け!!』とオレ様ぶり、飲み会の会計時は『いいよ、オレが出すから』と言うのだが、実際は立て替えているだけ。月末に1か月分の割り勘合計額が請求される。マジうざい」(26歳・販売員)と、気持ちだけはバブルでも、懐具合がついていかないのは痛々しいが……そもそも、ムリしなきゃいいのに。その虚勢がイタいんだってば。

■バブル男の決め言葉「この車以外は乗れないよね」



■バブル時代の風景 アッシーやメッシーという、今となったら気恥ずかしい造語も誕生。クリスマスには、シティホテルは3か月前から満室。高級レストラン→カフェバー→ホテルが“ヤレる”デートの定番だったが……。

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 とにかく多かったのが、“肉食”40代バブル男性による被害報告だ。

 「合コン帰り、駅までワンメーターなのにタクシーに乗せられて、車内でキスされた」(27歳・商社)、「サークルで付き合いのある男性。電車で帰る途中、耳元で『このあと、どこに行く?』と囁かれた。どこにも行かないし」(25歳・派遣)、「得意先の40代ベンチャー社長に打ち合わせだとホテルの部屋に呼び出され、『風呂、入っていきなよ。眺めいいよ』と言われた。ホテルの部屋をとりさえすれば、ヤレるとでも思っているのだろうか」(27歳・自動車)など、そのアグレッシブさはある意味、尊敬。

 しかし、「『オレの若い頃はさぁ~、最高で同時に3人の女とヤッた』という話が定番の自慢話」(24歳・金融)と、武勇伝を披露する人はこの世代、やたら多いのだが、「知人はバーで美人を発見すると『シャンパンをあちらの女性に』と言う」(28歳・製造)、「デートに誘われ断ったら、『寿司屋でゴールドカード、食後は車でドライブに夜景スポット。これで普通の女は落ちるんだけどな。君は難しいな』だって。アホか」(22歳・事務)とまあ、その口説きのテクニックもバブル……というか、古っ!!

 女性にしてみたら、普段行きなれない店や場所に連れていってもらい、大事に扱われることにときめかないわけではない。とはいえ、

 「『女のコは歩くの苦手でしょ?』とワンメーターでもタクシーを使い、しかも、わざわざカードで支払う。運転手さんに悪くて、私がいたたまれない」(28歳・証券)、「沖縄旅行に連れていってもらったが、台風が来ているのにもかかわらず、彼が事前に作ったオリジナルの旅のしおりどおりの行動を強いられた」(30歳・メーカー)、「合コンの2次会用にと、リムジン&シャンパンを予約していた。すでに時間は24時。平日開催の合コンで明日は仕事。当然、お断り」(27歳・メーカー)と、相手の都合や気持ちを考えない、カネにモノをいわせてのオレ様アピールはうんざりなのである。

 若い男子が草食化していると言われるだけに、肉食40代男性が下の世代に“猟場”があると踏んだのだろうが……20年前の成功体験を今に蘇らせても、盛りのついたオッサンにしか見えないわけで。それ、かなりイタいっすよ~。

■バブル男の決め言葉「オレの若い頃はさぁ~」



■バブル時代の風景 トサカ頭をした女性はボディコン、男性はソフトスーツ(アルマーニが流行)に身をつつみ、でかい肩パッドを揺らして闊歩。金のネックレスも流行した。ブランド全盛で「ハウスマヌカン」が人気職種にも。

 ◇

 若い頃に培ったセンスはそうそう変えようもないのだろうが、「20年前から変わってなさそうなテクノカットは、社内では笑いのネタ」(28歳・小売)と、時が止まってしまった人へのダメ出しが続出した。

 「44歳の取引先が飲みに連れていってくれたときのこと。支払い時に彼はおもむろにポケットから裸の札束を出し、その札束はキレイにクリップでとめられていた。マネークリップというものを、初めて知りました」(28歳・代理店)と、若い世代に新鮮に映ればまだいい。が、「今どき、セカンドバッグで通勤」(29歳・流通)なんて人もいまだ生息しているようで、「しかも、客先へもセカンドバッグで行くので、会社の品位が疑われないか心配」されている。

 また、当時のブランド信仰は強烈だったのだろうが、「全身ブランド。しかも、ロゴ入りがお好きのよう(笑)」(29歳・看護師)、「職場の人とテニスをしたとき、ポロシャツの胸元に金のネックレス。『これがないと調子が出なくって』と言われ、返す言葉がなかった」(27歳・保険)、「『これ、いいでしょ』とやたら自分の服やら時計を自慢し、聞かれないと自らブランド名を吹聴する」(31歳・建築)と、カネをかければオシャレだという発想がシャレてないのである。

 「夏は白いパンツに素足に白い靴。サングラスで出社し、『おはよう』と言いながら、そのサングラスを頭へ。格好だけはイタリア人だが、胸元の開いたシャツの隙間から段腹が見えた」(27歳・出版)、「ここぞという商談には、真っ黒のスーツにゼロ・ハリバートンのケース。そんな日は、『出たよ』と皆が彼に注目」(31歳・IT)と、気合が入りすぎてもイタいのである。

 トレンドについていったとしても、「着こなしがやっぱ’80年代。パンツの股上が深い。ハイウエストでベルトをギュッと締めがち。パンツはタックが一個余分。全体をまとめる力に欠ける」(32歳・アパレル)、「なぜ、リブ編みのカラーソックスをはくのか疑問」(29歳・販売)と、厳しいファッションチェックは続く。

 「ブルガリやD&Gの香水でイタリア男気取りの上司。『パフュームが僕の香りになっている』というが、女子社員、失笑」(28歳・商社)なんて話もあって。アラミスに馴染んだ世代。香水で伊達男を気取りたい気持ちもわからんでもないが……女性にとっては、ただの加齢臭消し!?

■バブル男の決め言葉「これ、いいでしょ」



■1965年生まれ。今年45歳のケース

0歳  JALパック募集開始(ハワイ9日間37万8000円)

1歳  3C(カラーテレビ・カー・クーラー)が新三種の神器に

3歳  GNP世界第2位に。『あしたのジョー』『タイガーマスク』が連載

4歳  東大安田講堂封鎖解除に機動隊出動 2ドア冷蔵庫登場 アニメ『サザエさん』放送スタート

5歳  大阪万博 三島由紀夫割腹自殺

6歳  日清・カップヌードル発売 NHK総合テレビ全放送カラーに

7歳  田中角栄『日本列島改造論』発表 沖縄返還 パンダのカンカン・ランラン到着

8歳  石油ショック(ちり紙の値段、前年12月比で150%上昇)

10歳 「およげ!たいやきくん」ヒット紅茶キノコ爆発的流行

11歳 「記憶にございません」が流行語に

12歳 王貞治・本塁打世界最高記録樹立日本赤軍ハイジャック事件

13歳 竹の子族ブーム キャンディーズ解散「窓際族」が流行語に

14歳 インベーダーゲーム流行 ソニー「ウォークマン」発売 「口裂け女」の噂、広がる

15歳 山口百恵引退 ジョン・レノン射殺 ルービックキューブ流行 家庭内暴力・校内暴力急増

16歳 東京・大阪・名古屋の3都市間でファクス通信開始 (1通500円)

17歳 500円硬貨発行 テレフォンカード使用開始 映画『E.T.』 「逆噴射」「ネクラ・ネアカ」流行語に

18歳 東京ディズニーランド開園 『おしん』『積み木くずし』人気に

19歳 グリコ森永事件 エリマキトカゲ人気

20歳 阪神タイガース21年ぶり優勝 ファミコンブーム いじめが社会問題化

21歳 男女雇用機会均等法施行  岡田有希子・飛び降り自殺

22歳 国鉄民営化 巨人・江川引退 安田海上火災、ゴッホの「ひまわり」を53億円で落札

23歳 週刊SPA!創刊 アグネス論争勃発  東京ドームオープン 瀬戸大橋開通

24歳 昭和天皇死去、平成に 消費税開始 『いかすバンド天国』ブーム

25歳 『ちびまる子ちゃん』放送

26歳 湾岸戦争 女子大生の就職率史上最高81.8%に

28歳 Jリーグ開幕 非自民連立内閣発足

29歳 松本サリン事件

30歳 阪神・淡路大震災 地下鉄サリン事件

31歳 アムラーブーム 

32歳 アジア通貨危機 消費税5%に 北海道拓殖銀行・山一證券倒産

33歳 完全失業率初の4%台に 『踊る大捜査線』ヒット

34歳 NTTドコモ・iモードサービス開始 ロボット犬アイボ発売  世界人口60億突破

36歳 小泉内閣発足 平均株価1万円割れ 米同時多発テロ

37歳 サッカー日韓W杯 北朝鮮拉致被害者5人帰国

38歳 六本木ヒルズオープン

40歳 「想定内」流行語に 耐震強度偽装問題発覚

41歳 ゼロ金利解除

42歳 宙に浮いた年金問題発覚 郵政民営化スタート

43歳 12年ぶりに1ドル=100円を突破 リーマン・ブラザーズ経営破綻 秋葉原無差別殺傷事件 ジュリアナ東京、一夜限りの復活

44歳 米・オバマ大統領誕生 政権交代・民主党政権成立

■取材/澤田彰宏 取材・文/田山奈津子 谷口キンゾー 港乃ヨーコ 藤村はるな 鈴木靖子(SPA!) イラスト/マキヨウコ 写真/産経新聞社 参考文献/『昭和・平成現代史年表』(小学館)


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