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2008年4月10日木曜日

旅行という名の文化侵略 ― ドゥバヤズィット


イランからトルコへの国境を越えるとすぐにドゥバヤズィットの町が見えてくる。
いや・・・すぐではないな、タクで直ぐといった距離だったか。
聖書に謳われるノアの箱舟伝説の山‘アララト山’のお膝元の町で、ここにイサクパシャと呼ばれる古い宮殿がある。
当時やたらに遺跡やこういった類の建物なんかを廻りながら旅するのが好きでこの町でもこれが目的の一つだった気がする。

町に着き、さあどうしたもんかと回りを見渡し・・・ん・やけに町が小さい。
さあどうしたもんか?荷物は馬鹿みたいに重い。旅慣れてない勲章だ。

ガッリンガッリンの体でタフガイ気分で意気揚々と目指すは小高い丘のうえにそびえ建つイサクパシャ。
いや~これが大失敗。緩やかな傾斜だがだらだらと続く長い道。回りの景色はというと草木は無く乾燥した台地が続くのみ。ブツブツと文句を垂れながら、景色に当たり散らかしながら漸くたどり着いたイサクパシャ・・・

フフン。いや・・・福田首相状態だった。いや普段なら印象も違っただろう私のせいだイサクパシャよ。

んでそのまた少し先にイサクを見下ろすような格好でレストラン兼ゲストハウスがあるらしいので今夜はそこで一泊と決め込んでいた。
やっとの事で辿り着くと・・・あれ?なんか伽藍堂だが?人気が無い・・・看板も無い。

どうやら扉は開いてるようなんで中へ入ると階段があり人の声が聞こえる。
沢山のトルコ人が集まって訳はわからんが輪になって踊りまくっている♪ルンルン!
数人が声をかけてくれる。どうやら冬季休業中で今は営業していないと・・・参った。

日も沈みかけて来て宴もそろそろといった感じになり、さあどうしたもんか?
一人の男性が私に声をかけてくる。彼はここの管理人でここで寝泊りしているらしく、管理人室で良かったらここで泊まっていけとのお誘い。願ったり叶ったりだ。

日も落ち真っ暗な中ランプを灯し、トルコの歯磨き粉のような味のお酒‘ラク’を2人で呑みながら会話する。
会話といっても当然私のつたない英語だけが頼りなんでザックリしたもんだ。
いや・・・込み入った会話はテーマ性があり、そういった自分の得意分野の会話に関してのボキャブラリーは結構それまでの旅の途中で溜め込んでいた。

彼は普段、外国人などを相手にしたガイドなどで生計を立てているらしい。生活のこと仕事のことお金のこといろいろ話する。

若干の悲哀を感じる。

自国の貨幣価値を他国へ持ち込んだ時、国際貨幣価値の高い国のお金は強くなる。
価値の高いお金を武器に旅行先でそれを消費活動として楽しむ。
その国の観光を中心とした産業が潤う・・・そうなのか?
まあある意味そうではある。
普通に考えて見ましょう。

円換算で月収1万に満たない国があったとします。そこで月収30万の国の人が旅するとき・・・
この為替差から生じるお金の行使力の違い。
‘やった~~ラッキ~~得した気分~’そんなとこか。
国際為替においてあまり強い位置に無い国の観光ビジネスに従事してる人たちは自国にいながら他所の国の貨幣価値や音楽ファッションなどの文化、宗教観などに影響を受けやすい。

いち住民はみんな観光客は別もので自分の生活との重ね合わせなどはしようはずも無いが、こういった仕事をすると否が応でも観光客サイドの価値観に洗脳されて少なからずの羨望をもって接するところがある。
当然彼らにとってはそれは虚構の世界であってリアルとはかけ離れている。

まあ・・・こんな事言っておきながらその先も旅は続けたんだが。
対論として・・・違った者同士が交わる中から新しい価値が生まれるやら何やらの捉え方が出てくるだろうし、こういった事を感じたこと、こうやって吐露している事がすでに何かに変態・・・してるのかも。

彼の会話からはそういった言葉にならない言葉が溢れていたような。『タクシードライバー』的なブルースが。
歯磨き粉のお酒を呑みながらも脳みそがフル回転で英語を聞き取るような夜だったとさ。
画樂侘紀行NewUpdate

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2 件のコメント:

  1. 歯磨き粉のような味の酒・・・・
    ・・・・・飲んでみたいような・・恐いような・・・。

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  2. ハーブですよハーブ。アニス。
    ハッカのような風味がそれを連想させるのです。
    水で割ることによって白濁する変わったお酒です。

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